Labyrinthのつくりかた – キャラクター制作編

Labyrinth

こんにちは、そらまめゲームスデザイナーのいもです。

Labyrinth(仮題)作るにあたり全体でどんな作業があるか、また各工程をどのように作っているかをデザイナー視点で記事にしていきたいと思います。

いもさん
ゲーム制作をした事がない方にも私たちの制作の過程を楽しんでもらえるように、ゲーム画面や実際の資料を交えながら紹介していきますね。

開発しているゲームについて

わたしたちが開発しているLabyrinth(仮題)3Dのキャラを操作し、ステージにある謎を解きながらストーリーを進めていくゲームです。こちらが開発中のLabyrinth(仮題)のPVです。

ほとんど仮素材ですが、一通りゲームプレイが出来る状態になっています。現在は各素材を作り込んで画面全体の質を上げていっている段階です。(2019/12/19現在)

ゲーム画面に表示するキャラクターを作るには?

今回はキャラクター周りの作業についてお話します。

画面に登場しているのがプレイヤーの操作するキャラクター水無瀬遥(みなせ はるか)ちゃんです。遥ちゃんを上のような姿にするには

  1. ゲームのイメージボード作成
  2. キャラクターデザイン
  3. モデリング
  4. テクスチャ作成
  5. セットアップ
  6. マテリアル設定
  7. キャラクターの動きつけ

の工程が必要になります。それぞれの工程についてお話していきますね。

イメージボード、キャラクターデザイン

チーム内でゲームの画について方針が固まったら、ゲームの雰囲気を掴む為のイメージボードを描きます。

雰囲気を掴む為のものなので細かいところは描いていません。どんな建物がどこに建っているのか、季節、時間帯を決めて全体の色味を作っていきます。一番初めのイメージボードがこちら。

海の上にある現代の不思議な駅、季節は夏頃で時間帯は日中といった要素を描いています。
次に、ストーリー性を感じさせるものとして用意した絵がこちら。

不安げな表情の主人公、看板などでノスタルジックな雰囲気を出そうとしています。

絵自体はスタンダードな描き方をしていましてPhotoshop、CLIP STUDIOを使用しています。

既にキャラクターを描いてはいますが、もっと掘り下げてデザインしていきます。わたしはジョジョの荒木先生が紹介していた「キャラクターの身の上調査票」というものを遥ちゃんに用意しました。(ネタバレになりそうなので基本的な情報以外は伏せています)

エクセルでもノートでも、やりやすい方法で!
そこに年齢や趣味、部活などを設定しそれをもとに絵に起こします。

身の上調査票をふまえて出来たキャラの絵がこちらです。

参考書籍紹介

キャラクターデザイン時に用意した「キャラクターの身の上調査票」をはじめ荒木先生の考える漫画術が記載されています。ジョジョなどを例に、コマに描かれてる演出意図を解説してくださっており非常に分かりやすいです。漫画を描く方はもちろん、お話を考える方や絵を描く方にも非常に良い本です。

モデリング

デザインしたキャラクターを3Dに起こします。Labyrinth(仮題)ではVRoidというPixivが提供している人型の3Dキャラクターを作るツールと、Blenderというフリーの3Dソフトを併用して作業をしています。

現状は全身VRoid製ですが、頭部はBlenderで作り直しています。最終的には頭部Blender、体はVRoidで作成の予定です。

VRoidを使う理由

VRoidは3Dの知識が無くても3Dキャラが作れるのが一番のメリットです。また、知識があっても3Dのキャラクターを0から作って動かせる状態にするには時間がかかってしまいます。その点VRoidは体の素体は用意されていますし、顔のパーツも配置や大きさをパラメータで調整してやってり絵を描くように髪の毛を生やしてやればあっという間に3Dキャラクターが出来上がります。

時間短縮にはとても良いツールだと思います。ただ、顔はこだわりたかったのでそこだけは自作する事にしました。

Blenderって何?

Blenderは無料で使用できる3Dソフトです。元々優秀なソフトなのですが独特の操作感がネックで何度か挫折していました。ですが、最近公開された2.8バージョンに業界互換キーマップが追加され他の3Dソフトとほぼ同じ感覚で操作ができるようになっています。

3Dソフトは高価なものが多いのですが、こちらは無料!個人開発者には大変ありがたいです。コスト面を考え、今後の為にBlenderの勉強しているところです。Youtubeやブログ記事など、ネット上に良いチュートリアルが多いので気軽に始められますよ。

Blenderで顔を作る工程も後々ブログにまとめる予定ですが、忘れないようにTwitterに簡単な制作過程を残しています。

 

作業が出来た週は土日にアップしています。気になる方はそちらもご覧になってくださいね。

参考書籍、サイト紹介

顔だけですが、モデリングの際に参考にしている書籍やサイトも紹介しますね。


Autodesk Mayaキャラクターモデリング造形力矯正バイブル
人体モデリングに特化して書かれた本です。特に頭部の作り方について、リアルテイストからデフォルメテイトまで細かく解説されています。使用ソフトはAutodesk Mayaですが、モデリングの考え方についてはMayaもBlenderも同じかと思いますのでBlender使いの方もキャラモデリングの際は参考になるかと思います。

3DCG暮らし
トハさんによる3DCGに関するブログです。Blender2.8関連の記事には大変お世話になりました。トハさんは元々Mayaを使っておられたそうで、Blenderの操作感をMayaに近づける方法なども記載されています。

テクスチャ作成


モデリングを終えても、大体がデフォルトのグレーの色のままです。ですので3Dモデルに色をのせるための画像を作成していきます。各パーツを剥製のように展開していって色を塗るためのデータを用意します。

これをUV展開といいます。もっと詳しく知りたい場合は検索してみてくださいね。それぞれのパーツのUVを展開したら展開図をPhotoshopなどに持って行って下の図のように質感や陰影を描いてやります。

ちなみに、VRoidだと全身のUV展開とベースのテクスチャが最初から用意されています。

現状の遥ちゃんの顔回りはこのようにパーツ毎のテクスチャが用意されています。顔は少し加筆していますが、体と髪の毛はVRoidのテクスチャそのままの状態です。目は完全に描きおろしています。
顔と髪に関してはBlenderで作り直しているので、UV展開~テクスチャを今後自分で行う予定です。

制服はsaintcさんのテクスチャをお借りしています。

全身にUV展開、テクスチャを用意するとこのようになります。

参考書籍紹介

テクスチャ制作の際いつも手元に置いてある書籍も紹介しますね。


ローポリ スーパーテクニック
学生の頃からデフォルメキャラクターを作る際に手元に置いている本です。デザイン~モデリング~テクスチャ作成までローポリデフォルメキャラの制作手順が一通り載っています。わたしは特にテクスチャの描き方を参考にしております。デフォルメキャラのテクスチャ作成の実例としてすごく質が高いです!

セットアップ

やっと色がついてキャラクターがイキイキしてきましたが、このままでは動かしてあげることが出来ません・・・。次はこの子を動かすための準備をしていきます。まずはこのモデルに3Dソフトで骨を入れてあげましょう。

これがキャラを動かすための骨です。blenderだとアーマチュアと呼びます。丸いところをキャラの関節部分に配置してやって・・・。

全身に骨が入っている様子です!(オレンジ色のものが骨です)これでキャラクターを動かすことが出来るようになります。

VRoidですと骨も最初から入れてくれているのですぐに動かす事ができます!本当にありがたい・・・。また、骨を動かしやすくするためにコントローラーをつけたり(=リギング)曲げた時に良い感じに形が変形するように設定(=ウエイト調整)したりと他にもやる事があるのですが、この記事では割愛します。

キャラクターの動き付け(モーション)

動かせる状態にしたので、ゲーム中に必要な動きを作っていきましょう。ゲーム中の動きはおおよそ以下のようになっています。(まだ仮素材の段階で、後々作りこみます)

待機

歩き

仕掛けを動かす時の動作(自販機を調べています)

このゲームはアクションゲームではないので、比較的モーションの数は少なめです。また、ここからさらにループさせる所や振り向きなどゲーム用にデータを分けていく為実際はもう少し多くなります。

これらの動きをYouTubeなどで資料を見ながら、時には自分でも動きながら3Dソフトやゲームエンジン上でポチポチと作っていきます。

参考書籍紹介

モーション作成時に頼りにしている書籍を紹介します。

増補 アニメーターズサバイバルキット
人型~四つ足歩行の動物、基本の動きからデフォルメの方法までしっかり掲載されています。モーションをつける時、手元にあると頼もしいです。

マテリアル設定

ゲーム上で最終的に表示する質感を設定します。この作業はゲームエンジンというゲームを作るソフトで行います。Labyrinth(仮題)ではUnreal Engine 4(UE4)というゲームエンジンを使用しています。家庭用のハイエンドなゲームにも採用されているものです。

こちら、使用するだけなら無料です。すごいですね・・・。ゲームエンジンでゲームが動くよう設計し、作ったキャラクターのモデルやモーションを読み込みむとゲーム中に表示されます。

その際に、キャラクターの肌や服などの質感をゲームエンジンのマテリアルという項目でより細かく設定していきます。

上図は肌のマテリアル設定画面です。こういった設定を各パーツに施してやって、ゲーム中の見え方を調整していきます。

参考書籍紹介

マテリアルはとても奥が深いので、コチラの本を参考に勉強しています。


マテリアルデザイン入門
CGの難しい話が苦手なわたしにも優しい内容で、UE4のマテリアルで困った時辞書のように使っています。

まとめ

これが全てではないのですが、わたしはこのような工程でキャラクターを作成しています。技術的なところは各工程で成果が出来次第まとめて記事にしていきますね。

いもさん
ゲームのキャラってこんな感じで作ってるんだな~と、ふわっとでも伝われば幸いです!